見えない相手
家族みんなが携帯電話を持つようになってから、家の電話が鳴ることはめったにない。ときどき、いい投資先があるとか娘の結婚相手を紹介するといった電話があったり、たまに、「お墓のご準備は」などと気分を悪くさせるような電話がある。相手がこちらの名前や電話番号を知らなければ、こんな電話がかかってくるはずがない。何らかの方法で家族の年齢や学校、勤め先などの詳しい情報を手に入れているのだろう。あるいは、情報を売ったり買ったりしている会社があるそうだから、それを利用しているのかもしれない。どちらにしても、知らない人に家の中をのぞかれているようで、気味が悪くなる話だ。
ところで、個人情報は、いったいどこまで他人に知られているのだろうか。財産、戸籍、思想、宗教、まさかとは思うが、遺伝子情報のようなものまでデータとして集められているのではないか。安全に管理されているはずの情報がもれ、預金が引き出されたり、クレジットカードが使われたりすることがあるという。自分の情報が悪用されたらと考えると恐ろしい気がする。
今は、インターネットを利用すれば、誰でも多くの情報を手に入れることができるし、会ったこともない相手と簡単に情報のやり取りができる時代だ。これからも新しい技術が開発され、より便利なサービスが利用できるようになり、そこから集めた情報を参考にする機会が、もっと増えるだろう。しかし、技術開発が進めば進むほど、それを悪用しようとする人間が増えることも間違いない。見えない相手に対してできることは、ひとりひとりが自分の責任で個人情報を守ることしかない。
